臼杵神社の境内には県内でも特に珍しい石造物があります。その形が、甲冑に身を固めた武人(頭部はなし)に似ているため、石甲とも短甲型石人とも呼ばれ、神社の鳥居をくぐると右側に高さ1.5mほどの石人が二基並んで立っています。この場所は、1500年以上前の古墳時代に築かれた全長87m、後円部径約45m、高さ約6m、前方部幅約45mの臼杵地方最大の前方後円墳です。古墳の規模、副葬品、外耳の特徴から、この辺りを支配していた豪族「海人部(あまべ)族」の墳墓とされています。二基の石人は、ここに葬られたものを守衛する番兵として武人の役割を果たしていたと考えられています。その表面からわずかながらも朱の痕跡が認められ、造られた当初は全面に朱が施され、さぞかし鮮やかな武人像であったと想像されます。
この石人を臼(うす)と杵(きね)に見立て、「臼杵」という地名はこの石人から起こったものであるとも言い伝えられています。昭和51年6月5日に国の重要文化財に指定されています。