大分県別府市明礬
大分道別府I.Cより車で5分
明礬温泉地区は相当な地熱地帯で、地下30cmあたりにはもう温泉脈があり、地表から勢いよく温泉ガスの蒸気が噴出しています。
ここに約50棟立つわら葺き屋根の小屋で江戸時代よりつくり続けています。
湯の花(ゆのはな)は、一般に入浴剤などの用途で採取・多く販売されていますが、
明礬地区の湯の花製法は、世界唯一の小屋方式から生まれる明礬温泉地区ならでは。
まず、湯の花をつくる小屋作りは噴気の多い場所が選ばれます。温泉ガスが均等に小屋内で噴出できるよう栗石で石畳みを作り、この地特有の青粘土を敷き詰め、その上に三角屋根のわら葺き小屋を建設します。地下のガスの蒸気が栗石のすき間から青粘土の中に入り、ガス中の成分と青粘土の成分が結晶。この結晶が湯の花で、1日約1ミリずつ成長し、40~60日かけて採取、精製、乾燥して製品化されます。
縄文時代の住居のようにも見える湯の花小屋は、雨降りでも小屋の内部の温度を一定に保ち、雨漏りはせず、蒸気中の水分をわら屋根が水滴とならず屋外へと放出させます。 しかし、職人が苦労して作った小屋も、蒸気の作用で寿命は長くて3年。そのたびに葺き替えます。昔の人々の深い経験と知恵から生まれた湯の花小屋は、江戸時代の“近代的化学工場”と言えるでしょう。